本尊 不動明王座像

本尊 不動明王座像

激しく燃える火焔を背に忿怒の相で口唇を閉じ、右手には降魔の剣、左手には羅素を持ち、矜羯羅童子と制咜迦童子の両脇侍を従えています。背後の火焔は「迦楼羅焔」と呼ばれ、三毒を食べる伝説の鳥「迦楼羅」に由来します。製作年代及び作者は不明ですが、関東大震災と戦災による焼失をまぬがれた貴重なもので、本堂内陣宮殿に安置されています。平成13年の本堂再建に合わせて、修復、彩色を行い、写真のような色鮮やかな御姿となりました。
不動明王は真言宗の教主である大日如来の化身で、降三世明王、軍荼利明王、大威徳明王、金剛夜叉明王とともに五大明王の主尊をなす仏さまです。悪魔を降伏させ、すべての障害を打ち砕き、素直に仏道に従わないものを導き救い、酉年生まれの守り本尊ともされています。9世紀の初めに弘法大師によって日本に伝えられ、「お不動さん」と呼ばれ親しまれています。

旧不動尊厨子

旧不動尊厨子

昭和47年本堂再建に伴う本尊厨子新造の際、奉納者の子孫に返還され、現在は、群馬県桐生市の新里郷土資料館に展示されています。

正面に向かって右側の板壁に、奉納に関わる次のような陰刻があります。

奉造立不動尊宮殿武州足立郡渕
江領本木村         
萬人講中願主  池田沖右衛門
寛保元辛酉天   四月十二日

これによれば 江戸時代中期の寛保元年(1741)、池田沖右衛門によって不動尊宮殿として新造され、当山に奉納されたことがわかります。製作年代(18世紀前期)が、このようにはっきりしている遺構はめずらしく、当時の建築様式の特徴をよく伝える、文化財級の史料として大切に保管されています。